高千穂町の祭りと伝統芸能


正月と「鬼の目はしらかし」
 元日は大ドシといわれ、若水汲みが女性の、若木採りが男性の初仕事でした。
 旧暦1月7日の「鬼の目はしらかし」は、火で熱した青竹を地面にたたきつけて破裂させ、その大きな音で厄を祓うという行事です。この火で七草雑炊を炊きます。


三田井本組の鬼の目はしらかし(2001.2.4)

牛の鋤(すき)入れ(押方籾崎地区)
 旧暦1月14日、わらで作った角を頭に付け牛に扮した子供たち(小中学生)が村の家々を回り、座敷で鋤を引いて回ります。最後はおやけ(家主)を木の根に見た立て、全員で角を使って押し倒します。ご褒美のお菓子や文房具をもらった子供たちは次の家へ。行事は深夜まで続きます。押方籾崎の集落にのみ伝えられています。



牛の鋤入れ(押方籾崎地区)(1997.02.08)

舟入れ・松入れ

 出産・結婚などの祝事があった家(松入れは特に男子誕生の家)を対象に旧暦1月14日に行われます。その家の家人には知られないように、近所の人々が未明のうちに庭に舟形や松を持ち込んでお祝うものです。家人はもし気づいても知らぬふりをします。
 「めでたいな。めでたいな。めでたいお家の神棚にきれいな鳥が来てとまる。青葉の笛をくわえきてぢゃこうの扇を打ち広げ扇のかなめで池をつく。池のまわりに米植えて、一かな刈れば千石の、二かな刈れば万石の、三かなも刈れば泉酒、その酒うけて、中見れば、四方四面四つの庫。これもこの家の宝なり。あーめでたいな。めでたいな。」(2002年4月22日三田井本組興梠政則氏宅の「舟入れ」NHK昼どき日本列島にて放送。)

    
   


龍泉寺地蔵祭と上野臼太鼓踊り
 旧暦1月24日、龍泉寺で奉納されています。島津、大友氏の高城川の戦いの時、島津軍の平田光宗が臼を首に掛けて舞ったのが始まりと伝えられ、五穀豊饒・火難・水難除けの祈願の舞といわれています。


上野臼太鼓踊り

大師祭り(お大師さん)
 「お大師さん」とは弘法大師(空海)のこと。この一帯では弘法大師信仰も根強く、各地に大師堂を見ることが出来ます。高千穂では大師堂のことを茶堂・茶屋と呼び、旧暦3月21日の祭りでは、浅ヶ部霊場八十八ヶ所を始め、今でも各村々の茶堂で赤飯やお茶の接待が行われています。


三田井吾平六角堂でのおせったい


端午の節句
5月5日、こいのぼりを飾ります。最近は、村おこしの行事としてたくさん飾る地区も増えてきています。

     
上野 田井本のこいのぼり        三田井 浅ヶ部のこいのぼり

お盆
 旧暦7月13日の盆の入りは「草刈盆」ともいい、普段より多めに草刈りをしたと言います。盆踊りは「バンバ踊り」といわれ「団七踊り」も盛んでした。又、供養踊りとして「念仏踊り」・「楽踊り」・「棒術」が初盆の家や墓地で行われました。


上岩戸日出地区念仏踊り(2000.8.14)

秋の行事
 十五夜(旧8月15日)、粟節句(旧9月9日)のほか、旧歴10月10日には団子を神前に供えました(「亥の子」)。



高千穂の夜神楽
 11月から2月にかけて、村々の氏神様を民家に迎え、夜神楽が奉納されます。夜神楽は、それぞれの村が年に一度氏神様を定められた民家に招き、収穫の御礼と来る年の豊作を祈る“まつり”です。夕方から翌日の昼近くまで三十三番の神楽が奉納され、村々では「宵殿(よど)」とも呼び、最大の行事としています。昭和53年、国の重要無形民俗文化財の指定を受けています。(「神楽せり唄」は民謡のページ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(浅ヶ部神楽2003)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(下永の内神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(押方五ヶ村神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(下野神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(黒口神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(秋元神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(押方嶽宮神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(二上神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(野方野神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(浅ヶ部神楽2004)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(河内神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(尾狩神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(下田原神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(黒仁田神楽)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(下川登神楽2002)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(上野神楽2001)」へ)(写真ギャラリー「高千穂の夜神楽(上田原神楽)」へ)


夜神楽終盤の山場・「戸取」の舞い(浅ヶ部地区)

猪掛祭(ししかけまつり)
 猪掛祭は「鬼八退治の伝説」にまつわる高千穂神社の神事で、荒神「鬼八(きはち)」の魂を慰めて、豊作を祈る祭りです。(鬼八伝説については「民話と伝承」のページ参照)毎年旧暦12月3日、神前に猪をささげ、神職や舞人などが「笹振り神楽」を奉納します。両手に持った笹を左右に振るシンプルかつ独特なもので、高千穂神楽の原形の一つとも考えられています。 この時歌われる「鬼八眠らせ歌」は「しのべやたんがん、さぁりやさぁそふ、まとはや、ささくり、たちばな。」と難解な文句ですが、甲斐勝美氏の解釈によると、「霜宮 田の願 さありや(されば) さそう(囃し?か又は一しめにという意味か?)圓成(まどかや おだやかに 円満成就) 神楽波ふれ 立ちばな(立ちばな)(神楽を舞うならば)」すなわち「霜宮の田の願が成就するように神楽を舞い立ちばな」の意ではないかとも言われています。(写真ギャラリー「猪掛祭」のページへ


猪掛祭の笹振り神楽

この他の年中行事

開催日 JPG 行事 備考 主催・お問い合わせ先
2月11日 神話の国高千穂建国まつり 「ヒゲの神様・ミス神様」コンテスト 同実行委員会
4月3日に近い日曜 菊宮神社春祭 神楽奉納 菊宮神社
4月中旬 神話の里高千穂マラソン大会 5km、10km、ハーフの部の他、健康ウォークもあります。 町教育委員会
4月16日 高千穂神社春季大祭 高千穂峡おのころ池から高千穂神社〜くし触神社までのメインストリートでの御神幸行列は見物です。役場周辺に露店が並びます。
交通規制がありますので、警察の指示に従ってください。
高千穂神社
5月2・3日 天岩戸神社春季大祭 天岩戸神社
5月3日 祖母山山開き 祖母山 町企画観光課ほか
7月上旬 天孫降臨七夕祭り 国見ヶ丘 町観光協会
8月上旬 高千穂パラグライダーカップ 四季見原 同実行委員会
9月10日 「神々の里高千穂」西日本弓道大会 町観光協会・宮崎日日新聞社
9月22日・23日 天岩戸神社秋季大祭 天岩戸神社
10月上旬 正調刈干切唄 全国大会 町観光協会
10月15日 四皇子峯まつり くしふる神社
10日16日 くしふる神社大祭 奉納相撲大会 くしふる神社
11月3日 ウェストン祭 五ヶ所高原三秀台 町企画観光課・日本山岳会宮崎支部
11月3日 天岩戸神社夜神楽33番公開まつり 高千穂神楽最古のお面様「尾迫の荒神」面も登場します。 天岩戸神社
11月22・23日 高千穂神社夜神楽祭り 高千穂神社
11月8日 高千穂町町民のつどい 町教育委員会ほか
およそ秋ですが年によって変わります。 サルタフェスタ 町企画観光課

各行事に関するお問い合わせはそれぞれの主催者、または町観光協会、町企画観光課にお願いします。


人形芝居(人形浄瑠璃)
 人形芝居が高千穂にはいってきた年代については、はっきりしていませんが、1785年(天明5年)の「岩戸庄屋日記」に「操、あやつり」の文字もあり、また柚木野に残されている1833年(天保4年)の「奉加帳」には、三味線や衣装のいたみが記されていることからみて、それ以前から伝えられていたものと考えられます。

★柚木野人形浄瑠璃
 上野の柚木野地区では、いまも熱心な伝承活動が続いています。明治31年に、徳島県の阿波より購入した「頭」の中には、初代天狗久などの作品もあり、頭39体、衣装83枚が保存されています。


柚木野人形浄瑠璃

★夕塩座
 河内の夕塩地区は昭和3年の火災により、人形及び道具のほとんどを焼失しましたが、明治25年の天狗久作品、その師匠人形富の作による「頭」など14体が、難をのがれ保存されています。

★永之内人形座
 岩戸の永之内人形座は、明治の初期に阿波から巡行にきた一座の人形を購入したことに始まると伝えられています。昭和の初めに廃座になり、
今はわずかに「頭」5体が残されています。




棒術
 棒術は、江戸時代に小侍・足軽・農民に護身武道として普及しましたが、その後神社の御神幸行列にも供奉納するようになりました。高千穂では、戸田流・神影流・タイ捨流が保存伝承されています。


棒術(2000.12.6)

民謡
刈干切り唄・神楽せり唄(民謡のページへ)

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