高千穂町の方言辞典(タ行)


原田欣三著「西臼杵方言考」1952年(初版)1968年(第2版)を元に、一部改編し集成しました。

高千穂弁 品詞 標準語の意味
名詞 牛馬の総称。
たい 助詞 よ。軽く言い放つ意味。
たかざるき 名詞 遠くまで遊びまわること。
たき 名詞 がけ。
たくなる 動詞・ラ行五段活用 衣類など折れ重なる。まくれてしわがよる。
たくぬる 動詞・ナ行下二段活用 重ねあつめる。
たぐり 名詞 せき。
たぐる 動詞・ラ行五段活用 せきが出る。せく。
たご 名詞 桶。
だご 名詞 だんご。
だごじる 名詞 手打ちうどんの煮込み汁。
たじねえ 形容詞 乏しい。少ない。
だちがあかん 慣用句 らちあかぬ。物事がはかどらぬ。
たづる 動詞・ダ行下二段活用 たでる。薬湯の湯気ではれものなどを蒸す。
たなし 名詞 手織の麻織物。
たひな 名詞 たにし。田にいる「にな」を「たひな」川にいるのを「かわひな」という。
たぼう 動詞・ワ行五段活用 保存する。貯えおく。「たばふ」の転。
だま 名詞 牝馬。
たまがらす 動詞サ行五段活用 驚かす。
たまがる 動詞・ラ行五段活用 驚く。びっくりする。
たまとる 慣用句 猫のじゃれること。
だむり 名詞 親類。一族。「だり」とも言う。
たゆうさま 名詞 神主。神官。
だらしい 形容詞 だるい。
だりやみ 名詞 晩酌。
だる 名詞 糞尿の肥料。
だる 動詞・ラ行下二段活用 (1)くたびれる。疲労する。(2)弛む。たるむ。
だるむ 動詞・マ行五段活用 弛む。たるむ。
たんだみ 副詞 益々。
だんだん 慣用句 ありがとうの意。(あいさつ語)
ちかづき 名詞 知り合い。情人。
ちきり 名詞 さおばかり。
ちぐ 名詞 不揃い。半端。
ちしゃむし 名詞 いもり。
ちのこがのうなった 慣用句 血色がなくなった。
ちゃおけ 名詞 茶うけ
ちゃのみとぎ 名詞 老人などの後妻。
ちゃんと 副詞 (1)つい。うっかり。(2)たしかに。きちんと。
ちゅう 助詞 「という」がつづまって助詞的用法となる。
ちゅうに 副詞 ただで。まるまる。
ちゅうの 名詞 大工の使う手斧。
ちゅうのだて 名詞 建築の起工式。
ちゅうろくてん 名詞 宙。空間。
ちょうずば 名詞 便所。
ちょか 名詞 土瓶。(豊日系の地に主に用いられる。)
ちょこじる 動詞・ラ行五段活用 くすぐる。
ちょこばいい 形容詞 くすぐったい。
ちょこちょこのき 名詞 百日紅の木。さるすべりの木。
ちょっぺん 名詞 頂上。てっぺん。
ちょん 名詞 さいころとばく。
ちりんだりん 副詞 ちりじりばらばら。
ちんこしばい 名詞 女だけの歌舞伎芝居。
ちんこめえ 形容詞 小さい。たいそう小さい。
ちんだはんだ 副詞 不揃いな。
ちんぢんに 副詞 粉みじんに。
助詞 「もの」「のもの」の意味で所有をあらわす。
名詞 土地の便。交通上の位置。
つう 名詞 (1)かさぶた。(2)柿のへた。
つうざる 動詞・ラ行五段活用 足りる。およぶ。
つうたん 名詞 馬鹿者。
つか 名詞 畑の面積の概算の単位。約一畝。耕作の時、一畝に一ヶ所ぐらい堆肥を積んで置くので、それから生じた語。
つがる 動詞・ラ行五段活用 (1)植えた草木が根づく。(2)犬・猫など交尾する。
つぎつぎぶし 名詞 つくし。
つくじる 動詞・ラ行五段活用 つつく。突く。
つくなむ 動詞・マ行五段活用 うずくまる。
つくなる 動詞・ラ行五段活用 集まり、かたまる。
つくぬる 動詞・ナ行下二段活用 集めかためる。
つくら 名詞 ふところ。
つぐり 名詞 なわなど丸く束にしたものを数える単位。
つくりあがり 名詞 田植えの済んだ祝。またその休め。
つけあげ 名詞 あげもの。てんぷら。
つず 名詞 唾液。
つず 名詞 粒。
つずまり 名詞 結末。しめくくり。
つちぼ 名詞 (1)しょうろ。(2)ありじごく。
つちまわす 動詞・サ行五段活用 なぐる。
つついっぱい 副詞 ぎりぎりいっぱい。
つづれ 名詞 ぼろ。破れ衣。
つば 名詞 唇。
つばす 動詞・サ行五段活用 はれものなどつぶして膿を出す。
つび 名詞 女陰。
つぼ 名詞 便所のためつぼ。
つぼね 名詞 隠居部屋。
つまぶくろ 名詞 仏事などに米を容れる布袋。
づらかす 動詞・サ行五段活用 たたく。ぶんなぐる。
つるのは 名詞 ゆずりは。
つわる 動詞・ラ行五段活用 牛馬など発情すること。
つん 接頭語 強勢の接頭語。「つん崩す」「つん折る」「つん割る」「つん切る」
つんくじる 動詞・ラ行五段活用 つねる。
つんなう 動詞・ワ行五段活用 つれだつ。
でえら 名詞 平地。平らな所。
てがり 名詞 束ねたもの。
てがる 動詞・ラ行五段活用 束ねる。
てご 名詞 縄、蔓などで編んだ籠。
でたち 名詞 出棺。
てづつめ 名詞 縫い物など不器用な女。
ててんごう 名詞 手すさび。
てにゃわん 慣用句 しようがない。
てぶろしき 名詞 風呂敷。
でぼちん 名詞 おでこ。
てまがてり 名詞 労役の交換。
てまもどし 名詞 労役の交換。
てれすけ 名詞 ぼんやり者。愚鈍者。
てれっと 副詞 ぼんやりと。
でん 助詞 でも。「でむ」ともいう。
てんごう 名詞 (1)手すさび。(2)いたずら。
てんころ 名詞 藁打ちに使う、柄が短く頭部の大きい木槌。
てんずく 名詞 天。大空。
てんぜえ 名詞 手すさび。面白半分の手細工。
てんば 名詞 頂きの面。上面。
といとい 名詞 鶏。(童語)鶏を呼ぶ声。
とう 動詞・ワ行五段活用 (1)とどく。(2)足る。
とうざんくえ 名詞 一大事。
とうし 名詞 ふるいの目の大きいもの。
とうしみ 名詞 燈心。
とうじんがりい 名詞 薪などを運ぶのに用いる木製で後ろに支え木を出した背負具。
とうじんつけぎ 名詞 マッチ。
とうのまめ 名詞 鳥類の心臓。
とうべ 名詞 藁やほし草などの束を積み重ねたもの。所により「とび」「とぶ」「とべ」「とぼ」「とうび」などとも言う。
どうろこうろ 副詞 どうやらこうやら。
どえん 名詞 炉辺。
とかぎり 名詞 とかげ。
とかまゆる 動詞・ヤ行下二段活用 つかまえる。
とき 名詞 休み。休み日。
とぎ 名詞 つれ。道連れ。友人。
とぎる 動詞・ラ行五段活用 先を削って鋭くする。
とぐう 名詞 土地または川底などの岩盤になっているところ。
とぐし 名詞 先をとがらした棒でものを掘るのに使う。
どぐら 名詞 怠け者。役に立たぬ者。
とくらかす 動詞・サ行五段活用 だましておだてあげる。
どけ 副詞 どのように。
どげな 連体詞 どのような。
とざくり 名詞 敷居。戸を通すようにさくったものの意か。
どじ 名詞 地面。土地。
としのばん 名詞 大晦日。
どずく 動詞・カ行五段活用 たたく。なぐる。
どぜん 名詞 独活。うど。
とぜんねえ 形容詞 物寂しい。一人寂しい。
どた 名詞 肥え太った者。
とちるる 動詞・ラ行下二段活用 あわてとまどう。
とづく 動詞・カ行五段活用 とどく。古形の残存。
とつけむねえ 慣用句 途方も無い。
とったかみたか 慣用句 のるかそるか。
とっぱ 名詞 とびあがりもの。「とっぱす」「とっぱごろ」「とびあがり」ともいう。
とっぱさき 名詞 先端。
とどろ 名詞 滝。
どのくじ 名詞 うなじ。頭の後方。「どのくぼ」ともいう。
どばく 動詞・カ行五段活用 吐く。
とびのこめ 名詞 正月、白紙に米を小量包んでゆずり葉と一緒に農具などに結びつけて祝うもの。
どひょう 名詞 げっぷ。
とぶ 動詞・バ行五段活用 走る。
どべ 名詞 末位。びり。「どべくそ」「どんけつ」「どべけつ」「どんじり」「げつ」などいろいろな言い回しがある。
どべどべ 副詞 べとべと
とぼし 名詞 あかし。
とぼす 動詞・サ行五段活用 あかしをともす。
どまぐるる 動詞・ラ行下二段活用 (1)ぐれる。(2)とりみだしてうろうろする。
とみ 助詞 ともに。
とや 名詞 (1)鳥小屋。(2)山で鳥をとる時、木の枝などで身をかくすように覆いをしたところ。
どや 名詞 肥え太った者。
どやくらかす 動詞・サ行五段活用 たたく。なぐる。
どやす 動詞・サ行五段活用 たたく。なぐる。
とりい 形容詞 にぶい。のろい。愚鈍。
とりくわず 名詞 鳥類の肺。
とりかざす 動詞・サ行五段活用 散らかす。
とりとばす 動詞・サ行五段活用 持っているものをうっかり手放す。
どろたんぼ 名詞 ぬかるみ。泥濘。
どんか 助詞 けれど。
どんく 名詞 ガマ。ヒキガエル。
どんげ 副詞 どのように。どの方向に。
どんげな 連体詞 どのような。
どんこんたまらん 慣用句 どうにもこうにもたまらない。
どんな 連体詞 馬鹿な。不調法な。
どんばら 名詞 太鼓腹。下腹のふくれたもの。



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