旧石器時代の環境といきもの
旧石器時代には4回の氷期がおとずれ、およそ2万年前のウルム氷期には現在よりも海水面が150mほども低くなり、日本と大陸は地続きになりました。
気温も今より7〜8度も低く、高千穂地方もカラマツ・モミ・ツガなどの亜寒帯の森林に覆われていました。いまは絶滅したナウマン象やオオツノジカなどの大型獣も見られたことでしょう。
出羽洞穴(西臼杵郡日之影町)
出羽洞穴は日当たりのよい南向きに開口し、日之影川に注ぐ沢に面した標高約920mの山腹にあります。
本遺跡は1965、1966年に発掘調査が行われ、第II・III〜VI・VIII層の5つの文化層から縄文土器や先土器時代の遺物が出土しました。特に・層から出土したチョッパ−、チョッピング・トゥ−ルなどの石器は今から2万年以上前の人々が使っていた道具です。
岩土原遺跡(東臼杵郡北方町)
岩土原遺跡は五ヶ瀬川の右岸、標高120mの段丘上に立地しています。発掘調査の結果、3つの文化層が確認され、第1文化層からは炉跡や押形文土器、石鏃などの縄文早期の遺構・遺物が発見されました。第2文化層からは爪形文土器や細石器が、第3文化層ではスクレ−パ−や剥片などの先土器時代の遺物が出土しました。特に、第2文化層から出土した遺物は土器出現期を考える上で重要な資料となっています。
細石器を出土した県内の遺跡では、舞野遺跡(延岡市)・船野遺跡(佐土原町)などがありますが、それらの遺跡では土器を共伴していません。また、第3文化層の石器は出羽洞穴の第3層の遺物と対比することができます。
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