高千穂町の民謡(大人向け)


民謡の歌詞の中には、大人向けの歌詞もあり、おおらかな地域性を示すものです。

刈干切唄
誰に見せらりょと思うて咲いたよー 谷間谷間の岩つつじよー
肥後の萱野にやなとりが二人よー どれが姉やら妹やらよー
わしが思いにゃあの山のけてよー 生まれ在所が見とうござるよー
おまやこぬかよ嬉しい逢瀬よー こよさ母屋の唐黍むきよー
様よ話そや小松のかげでよー 松の葉の様にこまやかによー
おまやどゆたのまさかの時はよー つれて他国へ行くとゆたよー
高い山から谷底見ればよー オコギおなごがツビくじるよー
ほれたほの字に濁りをつけてよー 二つ重ねてしてみたいよー
肥後は大国摩羅まで太いよー 高千穂女じゃ受け止めぬよー
思うちゃおれどもまだ言うちゃみらぬよー 言うてなるやらならぬやらよー
今夜来てくりょ東の窓をよー 合図してみろすぐあくるよー





神楽せり唄
さまはさんやの 三日月様よ サイナー  宵にちらりと見たばかり ノンノコサイサイ ヨイヨイサッサヨイサッサ ヨイヨイサッサヨイサッサ
一夜なれなれ背戸やの茄子 サイナー  せらにゃ背戸やの恥となる ノンノコサイサイ…(以下同)
月は山端におこ星や西に サイナー  思う君様まん中に ノンノコサイサイ…(以下同)
夕べ夜這い人が棚から落ちて サイナー  猫の真似してにゃごにゃごと ノンノコサイサイ…(以下同)
君と別れて松原行けば サイナー  松の露やら涙やら ノンノコサイサイ…(以下同)
さまと話そや小松の下で サイナー  松の葉のよにこまやかに ノンノコサイサイ…(以下同)
わしが思うにゃあの山のけて サイナー さまの出入りが見とござる ノンノコサイサイ…(以下同)
厭よ厭よの口ぐせ娘 サイナー  厭で手を引く馬鹿男 ノンノコサイサイ…(以下同)
年に一度の祭りのよさは サイナー  さまじょ晴れ着がほころびる ノンノコサイサイ…(以下同)
さまようよんげつは、大かな小かな サイナー  つきはだいでもしょじゃないか ノンノコサイサイ…(以下同)



【参考文献】
加藤数功・立石敏雄編「祖母、大崩山群」しんつくし山岳会(1959)
熊本商科大学民俗学会「民俗調査報告書高千穂」(1969)
高千穂町「高千穂町史」(1973)
原田解著「五つの流れの歌〜宮崎民謡紀行」鉱脈叢書(1981)
田尻恒「高千穂夜話」鉱脈社(1981)
高千穂町教委「高千穂の夜神楽」(1987)
土持孝雄「神楽せり歌と神楽囃子」宮崎県民俗学会「宮崎県の民俗」第49号(1994)
上記資料以外については、興梠弥寿彦氏より聞きとり。


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